サウナ開業に必要な手続き完全ガイド
― 公衆浴場法・消防法・建築基準法を中心に ―
近年、
- 個室サウナ
- 貸切サウナ
- 都市型プライベートサウナ
など、**宿泊を伴わない「サウナ専門施設」**の開業が急増しています。
一方で、
「サウナって、許可はいらないんですよね?」
という誤解も非常に多く、
実際には複数の法律が重なって規制される事業です。
本記事では、
サウナ開業に必要な法的手続きを、行政書士の視点で整理します。
1. サウナ開業で最初に確認すべき結論
結論から言うと、ほとんどのサウナ施設は許可・届出が必要です。
理由は単純で、
サウナは次の法律の対象になるためです。
- 公衆浴場法
- 消防法
- 建築基準法
「小規模だから」「個室だから」という理由で
無許可営業が成立することは、ほぼありません。
2. サウナは原則「公衆浴場」に該当する
公衆浴場法の基本的な考え方
公衆浴場法では、
不特定多数の者が入浴する施設
を「公衆浴場」と定義しています。
ここでいう入浴には、
- 湯船
- シャワー
- サウナ
が含まれます。
よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 個室サウナだから不要 | ❌ 原則必要 |
| 予約制だから不要 | ❌ 関係なし |
| 水風呂がない | ❌ 関係なし |
📌 営利目的で一般客にサウナを提供する時点で、公衆浴場法の対象です。
3. 公衆浴場の区分(ここが超重要)
サウナ開業では、
どの区分で申請するかが実務上の最大ポイントです。
主な区分
- 一般公衆浴場
→ 銭湯型(地域住民向け) - その他の公衆浴場
→ サウナ、スーパー銭湯、個室サウナ等
👉 **サウナ施設のほとんどは「その他の公衆浴場」**に該当します。
この区分により、
- 設備基準
- 面積要件
- 衛生管理基準
が変わります。
4. 保健所で必要な手続き
主な流れ
- 事前相談(必須)
- 図面提出(平面図・設備図)
- 公衆浴場営業許可申請
- 施設検査
- 許可取得 → 営業開始
図面で必ず見られるポイント
- サウナ室の構造
- 換気計画
- シャワー・洗面設備
- 給排水経路
- 清掃・消毒計画
📌 工事前相談を省くと、ほぼ確実に手戻りします。
5. 消防法|サウナ開業で最も厳しい分野
サウナは消防署から見ると、
- 高温
- 木材使用
- 密閉空間
という火災リスクの塊です。
よく求められる対策
- 自動火災報知設備
- 誘導灯
- 非常照明
- 内装制限(準不燃材)
- ヒーター周辺の防熱措置
特に、
- 薪サウナ
- 高出力電気ヒーター
は、事前協議なし=ほぼアウトと考えてください。
6. 建築基準法|用途変更に注意
サウナ施設は、建築基準法上、
- 店舗
- 特殊建築物
に該当するケースがあります。
注意点
- 住宅 → サウナ店舗:用途変更
- 延床面積・階数による制限
- 内装制限の適用
👉 建築士との連携が必須です。
7. サウナ開業でよくある失敗例
- ❌ 工事後に「公衆浴場許可が必要」と判明
- ❌ 消防検査で内装全撤去
- ❌ SNS広告が「無許可営業」と判断
- ❌ 個室だからと甘く見て指導
**サウナは「勢いで始めると失敗しやすい業態」**です。
8. 行政書士が関与するメリット
行政書士が初期から関与することで、
- 法令整理(公衆浴場・消防・建築)
- 保健所・消防署との事前協議
- 図面修正ポイントの明確化
- 無駄な工事コスト回避
が可能になります。
まとめ|サウナ開業は「法令設計」が9割
サウナ開業は、
- 設備ビジネス
- デザインビジネス
である以前に、
許認可ビジネスです。
✔ 工事前
✔ 契約前
✔ 広告前
この段階での法令チェックが、
開業の成否を決定づけます。

