【第3回】介護タクシー許可申請の流れと必要書類
― 行政書士が実務で組み立てる「申請書一式」の中身とは ―
はじめに:
「要件は分かった。でも、実際に何から始めて、どんな書類を出すのか?」
介護タクシー(福祉輸送事業限定)の相談で、最も多いのがこの質問です。
第2回で解説したとおり、介護タクシーの開業には
人・車・場所という3要件を満たす必要があります。
しかし実務では、
「要件を満たしている」
ことと
「許可申請として通る書類になっている」
ことは別物です。
第3回では、行政書士法人が実際に行っている
申請の全体フローと
提出書類一式の中身・組み立て方
を、できるだけ具体的に解説します。
1️⃣ 介護タクシー許可申請の全体フロー(全体像)
介護タクシー許可は、概ね次の流れで進みます。
【全体の流れ】
- 事前相談・要件確認
- 車両・営業所・車庫の確定
- 事業計画・収支計画の作成
- 許可申請書一式の作成
- 運輸局への申請(正式受理)
- 補正対応(1~数回)
- 許可取得
- 許可後の届出・運行開始
一般的に、申請から許可まで1.5~3か月程度を要します。
ただし、これは「最初から整理された申請」であった場合です。
行政書士が入らず、要件整理や書類が甘い場合、
👉 補正が長期化
👉 書類差し戻し
👉 車両や営業所の再設定
といったケースも珍しくありません。
2️⃣ 事前相談は“ほぼ必須”の実務工程
介護タクシー許可では、**事前相談(事前協議)**が極めて重要です。
なぜ事前相談が必要か?
- 地域ごとに運用が微妙に異なる
- 車庫距離・車両構造の判断が分かれる
- 個人/法人・兼業形態によって見方が変わる
そのため行政書士法人では、
書類を作る前に、必ず論点整理を行い、運輸局と方向性をすり合わせます。
ここを飛ばして申請すると、
「その前提では通りません」
という致命的な補正が後から来ることになります。
3️⃣ 許可申請書の“本体”はどんな書類か?
介護タクシー許可の中心となるのが、
**一般乗用旅客自動車運送事業許可申請書(福祉輸送事業限定)**です。
この申請書は、単なる1枚の書類ではなく、
**複数の別紙・添付資料で構成される“書類パッケージ”**です。
4️⃣ 提出書類一覧(実務で使う構成)
(1)申請書本体
- 一般乗用旅客自動車運送事業許可申請書
- 事業の種別:福祉輸送事業限定
- 営業区域
- 使用車両数
- 事業開始予定日
ここでは「形式的な記載ミス」が非常に多く、
行政書士は過去の補正事例を踏まえて文言を調整します。
(2)事業計画書(最重要)
審査の核心となる書類です。
主な記載内容
- 運送の対象者(要介護者・障がい者等)
- 運送の態様(予約制・付添介助の有無)
- 運行時間・運行方法
- 運転者体制
- 運行管理体制
ここで重要なのは、
❌ 抽象的な理想論
ではなく
⭕ **「現実に運営できる内容」**になっているか。
行政書士は、
「この内容で事故・トラブルが起きた場合、説明がつくか?」
という視点で文章を組み立てます。
(3)収支計画書(損益予測)
通常、3年分を作成します。
記載項目例
- 初期投資(車両・改造費・保険料)
- 月次売上予測
- 燃料費・人件費・保険料
- 営業利益の見込み
ここは「数字の説得力」が問われる部分です。
行政書士法人では、
運賃設定 × 稼働率 × 現実的な件数
から逆算して組み立てます。
(4)車両関係書類
- 自動車検査証(車検証)
- 構造変更・改造証明書(該当する場合)
- 任意保険証明書
- 車両写真(外観・内部・固定装置)
特に重要なのが、
「福祉輸送に適した構造であることが一目で分かる資料」。
写真の撮り方ひとつで、補正が出ることもあります。
(5)営業所・車庫関係書類
- 建物登記簿謄本
- 賃貸借契約書
- 使用承諾書(必要な場合)
- 平面図
- 車庫配置図(縮尺付き)
ここは
建築基準法・用途地域・運輸局基準
が交差するポイントです。
行政書士は、
「この場所が“運送事業の管理拠点として適切”と説明できるか」
を意識して資料を整えます。
(6)人に関する書類
- 運転者の履歴書
- 第二種免許証の写し
- 健康診断書
- 運行管理体制図
「誰が、どの責任で、どう管理するか」を
図と文章で明確化するのがポイントです。
5️⃣ 補正対応は“想定内”の工程
介護タクシー許可では、
補正なしで通るケースの方が少数派です。
よくある補正例:
- 事業計画の表現が抽象的
- 車庫寸法の記載不足
- 収支計画の根拠説明不足
- 運行管理体制が弱い
行政書士法人が入る最大のメリットは、
👉 補正を想定した書類構成
👉 補正対応を即日~数日で行える体制
にあります。
6️⃣ 許可取得後に必要な“次の手続き”
許可は「ゴール」ではありません。
許可後、以下の手続きが続きます。
- 運賃・料金の届出
- 運輸開始届
- 車両登録(事業用)
- 表示物(車内掲示・帳票)整備
これを怠ると、
👉 無許可運行扱い
👉 行政指導・改善命令
につながるため注意が必要です。
行政書士法人が“全部まとめて”支援する理由
介護タクシー許可は、
「申請書を作る仕事」ではなく、
事業を成立させるための設計業務です。
行政書士法人は、
- 要件整理
- 申請書作成
- 補正対応
- 許可後フォロー
を一貫して行うことで、失敗リスクを最小化します。
次回予告(第4回)
次回は、許可後に必ず直面するテーマ、
【第4回】
介護タクシー許可後に必要な届出・運行管理・運賃設定の実務
- 運賃は自由に決めていいのか?
- 運行管理者は必須?
- 事故が起きたらどうなる?
を、実務ベースで解説します。
まとめ
介護タクシー許可申請は、
「書類の量」よりも
「書類の組み立て方」
が成否を分けます。
行政書士法人は、
制度・現場・運用をつなぐ専門家として、
介護タクシー事業の“土台”を支えています。



