【第2回】介護タクシーを始められるのはどんな人? ― 行政書士が解説する「人・車・場所」の3大要件 ―

【第2回】介護タクシーを始められるのはどんな人?

― 行政書士が解説する「人・車・場所」の3大要件 ―


はじめに

「介護タクシーを始めてみたい」と思ったとき、
まず最初に確認すべきなのが、**法律上の“資格要件”**です。

どんな人でも始められるわけではなく、
運転者、車両、営業所・車庫などについて、道路運送法と国交省告示に基づく明確な基準が定められています。

行政書士法人が申請をサポートする際も、まずこの「人・車・場所」の整合性を最初に確認します。
本稿では、介護タクシー事業をスタートするために必要な要件を、実務レベルで詳しく解説します。


1️⃣ 「人」に関する要件介護タクシーは“誰が”できるのか

介護タクシーの申請主体は、個人事業主でも法人でも可能です。
しかし、どちらの場合も「経営者」と「運転者」に関して一定の資格・条件が必要です。


(1)事業者(経営者)の資格要件

  • 欠格事由に該当しないこと(過去に道路運送法違反などがないこと)
  • 適切な経営能力・財産的基礎を有していること(資本金・財務内容など)
  • 反社会的勢力に関与していないこと

特に「財産的基礎」は重要で、運輸局審査では**最低資金(目安300万円前後)**を保有していることが求められます。
これは、車両購入費・任意保険料・人件費など、初期運転資金をまかなうための要件です。

行政書士法人では、事業計画書に資金調達計画・月次収支計画を明示し、審査官が安心できる内容に整えます。


(2)運転者の資格要件

介護タクシーでは、単なる「ドライバー」ではなく、福祉輸送を担う専門運転者としての資格が必要です。

必要資格 内容 備考
第二種運転免許 旅客を有償で運送するために必要 普通二種または中型二種免許
介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級) 利用者への介助を安全に行うため 義務ではないが取得推奨
同行援護・ガイドヘルパー研修 視覚障がい者対応など専門運送で有利 任意資格
運行管理者(補助者) 複数台運行時の管理責任者 1名選任が必要(兼任可は地域による)

特に注意すべきは、「二種免許の取得」。
多くの申請が免許取得後に許可申請となりますが、行政書士が事前にスケジュールを整理し、
「免許取得予定証明書」などを添付して申請するケースもあります。


(3)介護資格は必須?

介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)は法的には必須ではありません
しかし、実務上は「車いす介助・乗降介助」を伴うため、資格を持っていないと利用者確保が難しいのが実情です。

行政書士法人檀上事務所では、介護職員初任者研修やガイドヘルパー研修の提携スクールの紹介も行い、
許可後すぐに現場運行ができる体制づくりを支援しています。


2️⃣ 「車」に関する要件福祉輸送車両の基準

介護タクシーで使用できるのは、車いすやストレッチャー対応の特装車両です。
ここを誤ると許可が下りません。


(1)車両の種類

主に次のようなタイプが対象となります。

  • 車いす2台積載タイプ(ハイエース・キャラバンなど)
  • 車いす1台+同乗者数名タイプ(シエンタ・フリードなど)
  • ストレッチャー対応車(救急搬送仕様・床低タイプ)

普通自動車の登録であればOK、一般タクシーと違い軽自動車も可能です。
(ただし特例として軽福祉車両が認められる地域もあり、行政書士が地域運用を確認します。)


(2)構造設備の要件

  • 車いす固定装置・リフトまたはスロープ
  • シートベルト・固定ベルト
  • 援助者が安全に介助できるスペース

これらが「自動車検査証上の用途・構造欄」に明記されている必要があります。
後付け改造車の場合は、改造証明書や構造変更検査が必要です。


(3)車両の名義と保険

  • 登録名義は申請者本人または法人であること
  • 任意保険(対人・対物無制限)が付保されていること
  • 自賠責保険証明書の写しを提出

行政書士法人では、車検証・保険証・改造証明を運輸局仕様に整理し、
「この車両で安全に福祉輸送ができる」ことを立証します。


3️⃣ 「場所」に関する要件営業所・車庫・休憩施設

介護タクシー事業では、車両や人だけでなく、**「どこで運行管理を行うか」**も厳しく審査されます。


(1)営業所

  • 事務机・電話・パソコンなどがあり、常時管理できる場所
  • 建築基準法上「事務所」用途であること(住宅用途は不可の場合あり)
  • 他用途との共用は制限される(例:カフェ併設などは不可)

登記上の所在地と営業所が異なる場合は、使用承諾書が必要です。
行政書士は建物契約書・登記簿・平面図を整合させて添付します。


(2)車庫

  • 営業所から2km以内(原則)
  • 車両の全長・全幅+余裕1mが確保されていること
  • 月極駐車場でも可(契約期間1年以上)
  • 舗装済みであり、他車両と混在しないこと

ここでも、**車庫証明図面(縮尺1/100)**が求められます。
行政書士が現地を実測し、配置図を作成するのが実務のポイントです。


(3)休憩・仮眠施設

  • 営業所または車庫に付属していること
  • エアコン・照明・ベッド・椅子などが設置されていること

自宅兼用の場合でも、休憩施設の確保を明記すれば許可対象になります。


4️⃣ 法人設立と目的欄の整備

法人で申請する場合、会社の目的欄に以下の文言が必要です。

「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」

この文言が入っていない場合、定款変更・登記変更が必要になります。
行政書士法人檀上事務所では、法人設立から許可申請までを一括サポートし、
目的欄・資本金・役員構成などを運輸局基準に合わせて整えます。


5️⃣ 申請までに準備しておくべき書類一覧

区分 書類名 発行者・備考
法人関係 登記簿謄本・定款 法務局
資金関係 預金残高証明書・資金計画書 金融機関・自作
車両関係 車検証・任意保険証・構造図面 車検証明書類
営業所関係 建物登記簿・賃貸契約書・図面 不動産会社
人員関係 二種免許証・履歴書・健康診断書 運転者本人
その他 事業計画書・運行管理体制図 行政書士作成

行政書士法人の関わりどころ

申請者本人がこれらすべてを揃えるのは、実務的に非常に困難です。
行政書士法人は、

  • 法的整合性のチェック(建物・車両・人)
  • 事業計画書の作成・補正対応
  • 運輸局との協議・面談
    を代行・サポートし、最短ルートでの許可取得を実現します。

まとめ

介護タクシーの開業において最も重要なのは、

「人・車・場所」この3つの要件がすべて整っているかどうか。

行政書士法人は、単に書類を作るだけでなく、これら3要素の法的整合性を組み立てる専門職です。

次回(第3回)は、いよいよ実務の核心である

「介護タクシー許可申請の流れと必要書類」
を、実際の国交省様式を引用しながら解説します。


📞介護タクシー開業・許可相談

行政書士法人檀上事務所

  • 介護タクシー・福祉輸送事業・居宅介護との併用申請に対応
  • 運輸局・消防・建築・税務まで一括サポート
  • 対応地域:全国(オンライン面談可)

次の第3回では、実際の申請書フォーマット(道路運送法第4条許可申請書など)と添付書類の構成までを解説します。
▶ 第3回「申請から許可までの流れと必要書類」へ続く。


公式LINE

お問い合わせ

    関連記事

    1. 【第5回】運行管理者と整備管理者の選任とは?〜運送業の許可に必須の「2…

    2. 【第4回】運送業の「事業計画書・資金計画書」はこう書け!〜許可審査と融…

    3. 【第3回】運送業の許可取得から営業開始までのリアルなスケジュールとは?…

    4. 事業スタートアップの基本ガイド:運輸業を始めるための第一歩

    5. 【第5回】介護タクシー×障害福祉・訪問介護・移動支援 ― 行政書士が設…

    6. 【第1回】そもそも一般貨物自動車運送事業とは?〜“緑ナンバー”の意味と…