【第4回】運送業の「事業計画書・資金計画書」はこう書け!〜許可審査と融資の両面を攻略するために〜

【第4回】運送業の「事業計画書・資金計画書」はこう書け!〜許可審査と融資の両面を攻略するために〜

こんにちは。行政書士法人檀上事務所です。
一般貨物自動車運送事業の開業を目指す方の多くが、「許可取得」と同時に「資金調達」や「事業設計」にも取り組んでおられます。

第4回の今回は、許可申請時に必要となる「事業計画書・資金計画書」について、審査を通すための構成と、融資にも通用する実務的なポイントをわかりやすく解説します。


事業計画書とは?運輸支局の視点を意識する

運輸支局に提出する「事業計画書」は、単なるビジネスの夢物語ではありません。
“この事業者は、許可を与えても持続的に安全運行を続けられるか”を確認するための文書です。

✅構成の例:

  • 事業の目的・背景
    • なぜ運送業を始めるのか?
    • 業界経験・営業先の見込みなど
  • 運行体制の構築
    • 管理者・運転手・整備体制の確保
    • 点呼や記録義務への対応
  • 営業戦略・運行エリア
    • 荷主企業・委託元の想定
    • 主な配送ルートや業種特化の戦略
  • 見込収支と黒字化の時期
    • 月別の売上計画
    • 支出(車両・人件費・燃料費)と差引利益

資金計画書に求められるリアリティと具体性

資金計画書は、開業時点で必要となる資金と、その調達方法を示す文書です。
金融機関に提出する場合は、1年〜3年の損益予想+資金繰り表も求められます。

✅必要項目の例:

項目 金額(目安) 補足
車両購入費 300万円〜 中古2tトラック1〜2台分
車庫整備費 50万円 借上・契約金など
保険料・税金 40万円 自賠責・重量税・任意保険
人件費(2か月分) 100万円〜 運転手・管理者給与等
事務所費用 30万円 初期備品・通信設備等
その他(予備費) 50万円 登録手数料・看板・雑費等

👉合計:500万円〜700万円が現実的ライン

この金額をどう準備するか(自己資金・借入・出資など)を明示し、資金使途があいまいにならないよう整理することが重要です。


金融機関への提出用には「返済可能性」も加味

運送業に対する融資では、トラックの購入資金や運転資金の融資が多く、日本政策金融公庫や地方銀行が活用されます。

その際にポイントになるのが:

  • 損益計画書(売上−経費の収支構造)
  • 返済原資(営業利益から返済できるか)
  • 自己資金比率(全体資金のうちの割合)

特に「初年度は月商100万・人件費50万・その他固定費30万で黒字化見込み」など、具体的かつ控えめな数値設定が好印象です。


許可審査と金融審査は“連動”している

許可審査の視点と融資審査の視点は異なりますが、以下のように重なる部分が多く、セットで対策するのが理想です。

視点 運輸支局(許可) 金融機関(融資)
安全体制 管理者・帳票 労務・事故対応体制
継続性 赤字回避見込み 返済可能性
実現可能性 申請者の経験・見込み 売上根拠・顧客の確実性

行政書士からのコメント:数字を“つくる”のではなく“語れる”かがカギ

私たち行政書士法人檀上事務所では、許可申請用と融資用の両方に対応した計画書の作成サポートを行っています。

  • 金融機関との協調支援(広島信用金庫・日本政策金融公庫 等)
  • 数値の根拠資料(車両見積・賃料契約書・人件費内訳など)をセットで整備
  • 提出書類の事前レビューと面談同席も対応可能

「計画書が書けない」ではなく、「数字の意味を説明できる」状態へ。
それが、持続的な運送業経営の第一歩です。


👉次回予告:【第5回】運行管理者と整備管理者の選任要件
– 誰がなれる?資格がない場合の裏技とは?


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