【第2回】一般貨物自動車運送事業の許可取得に必要な「5大要件」とは?

【第2回】一般貨物自動車運送事業の許可取得に必要な「5大要件」とは?

こんにちは、行政書士法人檀上事務所です。
前回のブログでは「一般貨物自動車運送事業」とは何か、緑ナンバーの意味や事業としての責任について解説しました。

今回はその続編として、実際に許可を取得するために必要な「5つの主要要件」について、運輸支局での現場経験もふまえながら、実務的な視点でわかりやすく解説します。


要件①【資金要件】預金残高証明がすべてを左右する

最も重要といっても過言ではないのが「資金要件」です。
許可取得後すぐに営業が開始できるよう、初期投資+数か月分の運転資金をまかなえる資金力を証明する必要があります。

📌審査のポイント:

  • 車両費(取得費・リース保証金)
  • 車庫取得費または賃料
  • 事務所備品・人件費
  • 保険・登録手数料など

これらを合算した上で、概ね500万〜800万円程度の残高証明を求められるケースが多いです。
資金調達がネックになる方には、融資・出資・DES(債務の株式化)などを組み合わせた資本戦略支援も可能です。


要件②【車両要件】最低1台は必要、リースもOK!

運送業は「車を持っていないと始まらない」事業です。
最低1台以上の貨物車両(最大積載量2t以上)が必要で、軽貨物(黒ナンバー)は対象外です。

  • 中古車でも可
  • 車検証における用途や自動車種別の確認が必要
  • リース車両でも許可可。ただし契約内容に注意(中途解約できないなど)

また、車両には後日、営業用の緑ナンバープレートと事業用ステッカーが交付されます。


要件③【営業所・車庫要件】都市計画法や消防法にも注意!

運送業の営業所・車庫は、次のような基準を満たす必要があります。

  • 営業所から車庫までが社会通念上、日常的に管理可能な距離にあること(概ね直線距離5〜10km以内、都市部では20km以内が目安)
  • 車庫前面道路の幅員が概ね5.5m以上(交差点や私道の場合は個別相談)
  • 消防法・建築基準法の用途制限に適合
  • 賃貸物件の場合は使用承諾書が必要

また、車庫・営業所の見取り図や写真を提出する必要があり、これは行政書士が現地調査を行うことが多いです。


要件④【人的要件】運行管理者と整備管理者の確保

次の2つの役職を、常勤で確保する必要があります。

  1. 運行管理者
    • 試験合格者または基準緩和要件該当者
    • 外部委託は基本NG
  2. 整備管理者
    • 2級整備士 or 実務経験者(1年以上)

これらの人材を法人内に抱えることで、安全運行体制が整っていることを証明します。
「名義貸し」は厳しく取り締まられるので要注意です。


要件⑤【法令試験】役員による筆記試験、意外と難関?

最後に、法人の代表者や役員の中から1名が法令試験を受験します。

  • 道路運送法・労働基準法・道路交通法などから出題
  • 試験は運輸支局にて年4〜5回程度実施
  • 合格率は60〜70%、過去問対策が効果的

当事務所では、申請とセットで法令試験対策レジュメ・模擬問題提供も行っています。
「時間がなくて勉強できない…」という方も安心です。


行政書士からのコメント:全要件を満たして“はじめて”スタートライン

運送業の許可は、書類提出だけでは通りません。
各要件を**「客観的な証拠資料」で裏付けること」が絶対条件**となります。

  • 不動産契約書・建物登記簿
  • 車両の見積書・リース契約書
  • 運行管理者証の写し・就任承諾書
  • 預金残高証明書(法人名義)

こうした書類の組み合わせ方や、事前相談の段階でのロジック整理が重要です。
私たち行政書士法人檀上事務所では、“通る申請”のための段取り設計からサポートしています。


👉次回予告:【第3回】許可申請から営業開始までのスケジュールとは?
– 何ヶ月かかる?役所とのやり取りのリアルな流れをご紹介します。


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