尾道市における旅館業営業許可申請と浄化槽法の関係|福山市の行政書士法人檀上事務所

尾道市における旅館業営業許可申請と浄化槽法の関係

〜浄化槽設置・保守点検・届出の実務ポイント〜

旅館業許可の取得にあたり、「建築基準法」や「消防法」と並んで忘れてはならないのが「浄化槽法」です。
特に尾道市では、下水道が整備されていない地域が多く、旅館業施設の排水処理方式が「合併処理浄化槽」に該当するケースが少なくありません。

この記事では、尾道市における旅館業営業許可申請に伴う浄化槽法の手続き・届出・注意点を、行政書士の実務目線で詳しく解説します。


1.まず理解すべき「浄化槽法」とは

浄化槽法(昭和58年法律第43号)は、生活排水を適正に処理し、水質汚濁を防止するために定められた法律です。
家庭・事業所・宿泊施設などで設置される「浄化槽」の設置・維持管理・清掃・点検
を義務づけています。

旅館業施設では、宿泊者の利用により生活排水が発生するため、以下の2パターンのどちらかが該当します。

排水処理方式 届出の必要性 担当部署
公共下水道に接続 不要(水質汚濁防止法・浄化槽法ともに対象外) 下水道課確認
合併処理浄化槽を設置 必要(設置届出・使用開始報告・保守点検義務あり) 尾道市環境政策課

2.尾道市での「旅館業×浄化槽」手続きの流れ

尾道市で旅館業の営業許可申請を行う場合、建築・消防・保健所に加え、環境政策課(旧・生活環境課)への届出も関わります。
流れを簡潔にまとめると以下のようになります。

(1)事前確認:排水経路と処理方式の確認

  • 物件所在地が下水道区域かどうかを尾道市下水道課(0848-25-7285)で確認。
  • 下水道未整備区域の場合、合併処理浄化槽の新設または既設確認が必要です。

(2)浄化槽設置の届出

  • 新たに浄化槽を設置する場合、「浄化槽法第7条の設置届出書」を尾道市環境政策課へ提出。
  • 届出時には以下の書類を添付します。
    • 設置届出書(様式第1号)
    • 浄化槽工事業者の登録証明書写し
    • 浄化槽の構造図・配置図
    • 処理対象人員算定表(宿泊者定員に基づく)
    • 設置位置を示す案内図

(3)設置工事と使用開始報告

  • 工事完了後、「使用開始報告書」を提出。
  • 使用開始後は、**保守点検契約・清掃契約・法定検査(検査機関:広島県環境保全センター)**を義務づけられます。

3.旅館業施設における処理対象人員の考え方

旅館業施設では、宿泊定員数+従業員数に応じて処理能力を算定します。
例えば、宿泊定員10名・従業員2名の場合、12人槽程度の合併処理浄化槽が必要になります。

尾道市では、建築確認や旅館業申請時に提出する求積図や平面図と照合し、処理対象人員の整合性が確認されるため、設計段階から建築士・行政書士・浄化槽業者の三者連携が推奨されます。


4.保守点検・清掃・法定検査の義務

浄化槽は、設置後も以下の維持管理義務があります。

区分 内容 頻度 担当者
保守点検 機器の点検・調整・水質検査 年3~4回 登録保守点検業者
清掃 スラッジ(汚泥)の除去 年1回以上 許可清掃業者
法定検査 設置後の性能確認(第7条検査)、使用後の定期検査(第11条検査) 使用開始時および毎年 指定検査機関(広島県環境保全センター)

※法定検査を怠ると最大50万円以下の罰金となる場合があります。


5.よくある質問(Q&A)

Q1:公共下水道に接続している場合も届出が必要ですか?
→ 一部不要です。公共下水道へ直接放流する場合、浄化槽法・水質汚濁防止法いずれの届出も一部不要です。ただし、下水道接続証明書の添付が求められることがあります。

Q2:古い単独処理浄化槽が残っている場合は?
→ 旅館業用途では合併処理浄化槽への転換が必須です。単独処理型では営業許可が下りません。

Q3:既設の浄化槽をそのまま使う場合は?
→ 容量・構造が現行基準に適合しているかを確認するため、保守点検業者による性能確認報告書の提出を求められる場合があります。

Q4:旅館業許可申請書に添付する必要書類は?
→ 通常、以下の添付を求められます。

  • 浄化槽設置届出書の写し
  • 使用開始報告書の写し
  • 保守点検契約書写し
  • 清掃契約書写し
  • 法定検査済証の写し(既設の場合)

6.実務上の注意点(行政書士・建築士向け)

  1. 旅館業申請前に浄化槽届出が完了していないと、営業許可は受理されない
    → 保健所(尾道市環境保健課)は、環境政策課への届出完了を条件としています。
  2. 合併処理浄化槽の処理対象人員と宿泊定員を一致させること。
    → 宿泊者が増える設計変更を行った場合は、浄化槽容量も見直しが必要です。
  3. 建築確認と同時進行で調整するのが効率的。
    → 尾道市は「建築確認不要証明」+「浄化槽届出」+「消防確認」を並行するケースが多いです。

7.まとめ:尾道市での旅館業許可における浄化槽法対応の要点

項目 要点
届出の要否 下水道接続なら不要、未整備区域なら浄化槽届出が必要
主管課 尾道市環境政策課
書類 設置届出書・図面・契約書・検査証など
注意点 合併処理浄化槽必須、単独処理型は不可
関連部署 環境政策課、保健所、消防署、建築指導課

8.行政書士法人檀上事務所によるサポート

行政書士法人檀上事務所では、尾道市・福山市エリアを中心に、
旅館業・民泊・簡易宿所に関する各種法令手続きのワンストップ支援を行っています。

  • 浄化槽法届出書・添付図面の作成
  • 環境政策課との事前協議
  • 建築士・設備士との連携調整
  • 旅館業・住宅宿泊事業法・消防法・建築法・水質汚濁防止法まで一括対応

尾道市での宿泊事業の開業を検討されている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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