マンスリーマンションは住宅宿泊事業の対象になるのか?|福山市の行政書士法人檀上事務所

マンスリーマンションは住宅宿泊事業の対象になるのか?

民泊や短期貸し出しのビジネスが日本全国で注目され、個人や法人による宿泊施設の運営が増加しています。その中でも「マンスリーマンション」は、長期的に利用されることが多いため、民泊ビジネスとは異なる形態と見なされがちです。しかし、マンスリーマンションを「住宅宿泊事業(いわゆる民泊)」として提供できるのかという質問がよく出てきます。この記事では、マンスリーマンションと住宅宿泊事業の関連性について詳しく解説していきます。

1. 住宅宿泊事業(民泊)とは?

まず、住宅宿泊事業(通称「民泊」)の基本的な概要を押さえておきましょう。民泊とは、通常は宿泊施設として利用されていない住宅を、宿泊施設として提供する事業です。特に観光客やビジネス利用者に短期間の宿泊場所を提供することが多いです。

住宅宿泊事業法では、年間180日以内の営業日数制限が設けられており、自治体ごとに追加の規制や条例が設けられている場合があります。民泊には、旅館業法に基づく旅館・ホテル営業許可を取得するか、住宅宿泊事業の届出を行う必要があります。

2. マンスリーマンションとは?

一方、マンスリーマンションは名前の通り、月単位で賃貸契約を結ぶ短期賃貸物件です。賃貸契約では、通常は1ヶ月以上の契約が基本で、ビジネス出張や短期転勤、学業などの目的で利用されることが多いです。

マンスリーマンションの特徴は以下の通りです:

  • 契約期間: 通常、1ヶ月以上から数ヶ月間の短期賃貸契約
  • 設備: 家具や家電が備え付けられており、すぐに生活を始められる
  • 利用目的: 出張、学業、短期滞在、転勤の準備など

マンスリーマンションは、その性質上、賃貸借契約が結ばれ、通常の賃貸物件として扱われます。

3. マンスリーマンションと住宅宿泊事業の違い

ここで注目すべきは、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)とマンスリーマンションの違いです。民泊は「短期的な宿泊場所の提供」であり、1泊単位での利用が可能です。これに対して、マンスリーマンションは「短期の賃貸契約」に基づいているため、一般的には1ヶ月以上の滞在が前提となっています。

このため、法律上はマンスリーマンションは民泊の範疇には入りません。民泊は「宿泊」であり、マンスリーマンションは「賃貸」という位置付けが異なるのです。

4. 住宅宿泊事業の対象としてのマンスリーマンション

では、マンスリーマンションを住宅宿泊事業として運営することは可能なのでしょうか?

結論としては、可能ですが条件付きです。マンスリーマンションであっても、1泊単位で宿泊者を受け入れたい場合は、住宅宿泊事業法の適用を受ける可能性があります。これは、物件の利用方法が「賃貸」ではなく、「宿泊」になるためです。そのため、以下のような手続きを踏む必要があります:

  • 住宅宿泊事業の届出: 住宅宿泊事業法に基づき、物件が宿泊施設として運営される旨を自治体に届出ます。
  • 消防法や建築基準法の適用: 宿泊施設として利用される場合、必要な安全基準や建築基準を満たしているかを確認します。特に消防設備は重要です。
  • 年間180日以内の営業: 住宅宿泊事業法では年間180日以内しか営業できませんので、この制限を守る必要があります。

5. マンスリーマンションを民泊に転用する際の注意点

マンスリーマンションを民泊として転用する際には、いくつかの重要なポイントがあります。

1. 法的な手続きの確認 まず、マンスリーマンションの建物が民泊営業に適しているかを確認する必要があります。建築基準法や消防法に違反していないか、また地方自治体の条例で規制されていないかなどを確認することが重要です。

2. 契約形態の変更 マンスリーマンションは基本的に賃貸契約に基づいて運営されていますが、民泊として転用する場合には、賃貸契約から宿泊契約への変更が必要です。これにより、契約期間や料金の設定が大きく異なってきます。

3. 物件所有者や管理会社との合意 マンスリーマンションを運営する物件が賃貸物件である場合、所有者や管理会社の許可が必要です。民泊として利用することが契約に違反していないかを事前に確認することが重要です。

4. 民泊運営にかかるコストの確認 消防設備や保険の加入、清掃業務の委託など、マンスリーマンションを民泊として運営する場合には追加のコストがかかります。このコストをしっかり把握した上で、収益性が確保できるかを検討する必要があります。

6. まとめ

マンスリーマンションを民泊として運営することは可能ですが、住宅宿泊事業法やその他関連法令に基づいた手続きが必要となります。また、年間180日以内の営業制限があるため、長期的な賃貸契約と比較して運営の自由度が制限される点も考慮する必要があります。

マンスリーマンションを民泊として運営する場合、適切な法的手続きを踏み、物件の管理者やオーナーと協力して進めることが重要です。物件の用途や規制を正しく理解し、慎重に運営計画を立てることで、民泊ビジネスとしての成功を目指しましょう。

皆様がマンスリーマンションを民泊として活用する際に参考になる情報を提供できれば幸いです。

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