一戸建ての家主不在型の民泊施設【建物延べ面積300㎡未満or以上】を運営する場合のイニシャルコスト試算

一戸建ての家主不在型の民泊施設【建物延べ面積300㎡未満or以上】を運営する場合

1. 自動火災報知設備の設置

  • 自動火災報知設備: 感知器が熱や煙を感知し、受信機に信号を送って火災を知らせる設備です。建物の延べ面積が300㎡以上の場合に設置が義務付けられています。
    • 設備には、受信機、発信機、中継機、表示灯、地区音響設備、感知器が含まれます。
    • 設置工事は消防整備士の資格を持つ者しか行えないため、設備本体の費用に加えて配線工事費が必要で、総額約100万円がかかります。
    • 建物延べ面積300㎡未満かつ2階建て以下の一戸建て住宅では、特定小規模施設用自動火災報知設備の設置が許可されており、これなら1個約15,000円で購入可能。無線式の物であれば配線工事も不要です。

2. 誘導灯・非常用照明の設置

  • 誘導灯: 火災や地震で停電した際に、ゲストが安全に避難できるよう設置する照明器具。日本語が読めない外国人でもわかるような図解になっています。主に玄関などの出入口に設置されます。
    • 階段通路誘導灯: 階段やスロープがある場合に必要です。
    • 非常用照明: 停電時に自動で点灯する照明が義務付けられています。電気工事士の資格がない人でも設置できるよう、コンセントから電源を取れるタイプもあります。
  • 誘導灯や階段通路誘導灯の設置工事は、電気工事士の資格を持つ者でないとできないため、設置費用と工事費で約5万円がかかります。ただし、避難経路がスムーズであると認められれば、誘導灯の設置が免除される場合もあります。

3. 防炎物品の使用

  • 防炎物品: 民泊で使用するカーテンやじゅうたんなどは、防炎物品でなければなりません。防炎タグが付いていることが必要で、消防検査でチェックされます。布製品は火災の際に燃え広がりやすいため、防炎物品を使用することが義務付けられています。

4. 消火器の設置

  • 消火器: 以下の条件に該当する物件では、消火器の設置が必要です。
    • 建物延べ面積が150㎡以上
    • 地階(地下室)
    • 無窓階(窓の開口部が少ない階)
    • 3階以上の階で床面積が50㎡以上
  • 消火器は業務用のものを購入することが推奨されており、3,000円台から購入可能です。使用期限は約10年で、使用していなくても買い替えが必要です。

結論

これらの要件に基づいて、一戸建ての家主不在型の民泊施設を運営する場合、各種の消防設備の設置が義務付けられ、相応のイニシャルコストがかかることになります。

一戸建ての家主不在型の民泊施設における標準的なイニシャルコストを以下に試算します。この試算は、必要な消防設備の設置やその他の初期投資を考慮したものです。

1. 物件の準備

  • 家具・家電の購入: ¥500,000 ~ ¥1,500,000
    • ベッド、ソファ、テーブル、家電(冷蔵庫、電子レンジ、エアコンなど)の購入費用。
  • インテリア・装飾品: ¥100,000 ~ ¥300,000
    • カーテン、照明、装飾品など。

2. 法的手続き・許可取得

  • 住宅宿泊事業届出: ¥0 ~ ¥30,000
    • 自治体への届出手数料。
  • 自動火災報知設備の設置:
    • 300㎡未満・2階建て以下の場合: ¥15,000 ~ ¥45,000
      • 特定小規模施設用自動火災報知設備を無線式で設置する場合。
    • 300㎡以上の場合: ¥1,000,000
      • 本格的な自動火災報知設備の設置が必要。
  • 誘導灯・非常用照明の設置: ¥50,000 ~ ¥100,000
    • 誘導灯や非常用照明器具の設置費用および工事費。
  • 防炎物品の購入: ¥50,000 ~ ¥150,000
    • カーテン、じゅうたんなどの防炎物品の購入。
  • 消火器の設置: ¥3,000 ~ ¥10,000
    • 業務用消火器の購入費用。
  • 保険料(民泊専用保険): ¥50,000 ~ ¥150,000
    • 火災保険、損害保険、民泊専用の責任保険など。

3. 物件改装・設備

  • リフォーム費用: ¥200,000 ~ ¥500,000
    • 内装のリフォーム(壁紙の張替え、床材の交換など)。
  • インターネット回線設置: ¥10,000 ~ ¥30,000
    • Wi-Fiルーターの設置、インターネットプロバイダー契約費用。

4. マーケティング・プロモーション

  • ウェブサイト作成: ¥50,000 ~ ¥300,000
    • 自社ウェブサイトの制作費用、または宿泊予約サイトへの掲載費用。
  • プロモーション費用: ¥50,000 ~ ¥150,000
    • 広告、SNS、SEO対策などの費用。

5. その他の費用

  • ライセンス契約費用: ¥20,000 ~ ¥100,000
    • プロパティマネジメントシステム(PMS)やチャンネルマネージャーの導入費用。
  • 初期在庫費用: ¥20,000 ~ ¥50,000
    • リネン、タオル、シャンプー、トイレットペーパーなどの備品。

総合試算

項目 コスト(円)
物件の準備 ¥600,000 ~ ¥1,800,000
法的手続き・許可取得 ¥168,000 ~ ¥1,340,000
物件改装・設備 ¥210,000 ~ ¥530,000
マーケティング・プロモーション ¥100,000 ~ ¥450,000
その他の費用 ¥40,000 ~ ¥150,000

合計: ¥1,118,000 ~ ¥4,270,000

まとめ

  • 家主不在型の一戸建て民泊施設は、家主同居型と比べて厳しい消防規制が適用されるため、イニシャルコストが高くなります。
  • 特に、自動火災報知設備や誘導灯の設置が必要であるため、これらのコストが大きく影響します。
  • 物件の規模や所在地、法的要件によっては、これ以上の費用が必要になる場合もあります。

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