目次

  1. はじめに:なぜ「学校法人設立」のニーズが高まっているのか
  2. 個人立学校設置から始めるメリット・デメリット
  3. 学校法人設立の位置付け・法的根拠
  4. 学校法人を設立するための要件(寄附行為・役員体制・財産基盤)
  5. 個人立から学校法人への移行パターンと留意点
  6. 手続きの流れ(申請書類・所轄庁・審査ポイント)
  7. 設立後の運営体制・ガバナンス強化・監査・報告義務
  8. ケーススタディ:想定モデル(専門学校/各種学校)
  9. 行政書士視点で支援可能なサービスメニューと注意点
  10. おわりに:今後の展望と読者へのメッセージ

1. はじめに:なぜ「学校法人設立」のニーズが高まっているのか

昨今、「教育」「学び直し」「スキルアップ」への関心が高まっており、専門学校・各種学校・インターナショナルスクールの開設だけでなく、法人格を持たせた「学校法人」形式による設置・運営に着目する動きも増えています。
特に、個人がまず学校を立ち上げたのち、一定の実績・規模が出てきた段階で学校法人化を検討するというパターンも見受けられます。
法人格を持つことで、税務・補助金・借入・公共性アピールなどの面で制度的優位を得られるためです。


2. 個人立学校設置から始めるメリット・デメリット

メリット

  • 個人あるいは任意団体として設置を開始し、柔軟に教育コンセプト・校舎・スタートスキームを設定できる
  • 初期コスト・手続きが比較的シンプルで、法人設立・認可を待たずに「学校設置」を動かせる場合もある
  • 開設・運営実績を積むことで、次のステップ(学校法人化)に好条件で臨める

デメリット/リスク

  • 個人立のままでは「学校法人」でなければ設置できない学校種別(例:小学校・中学校・高等学校・大学など)を目指すことができない場合がある。たとえば、学校教育法第6条は、法律で定める学校を設置できるのは「国、地方公共団体又は法律で定める法人」であるとしています。 (文部科学省)
  • 教育機関としての公共性・財務的安定性・施設基準など、認可のハードルが高いため、途中で資金・設備・運営体制が整っていないと立ち消えとなるリスクもあります。
  • 個人立から法人化への移行コスト・手続きの壁があるため、初期段階で法人化を前提に事業設計しておいた方が安心です。

3. 学校法人設立の位置付け・法的根拠

学校法人とは、私立学校法(昭和24年法律第270号)に基づき、私立学校を設置・運営するための法人です。
この法律において、学校法人の設立にあたっては、設立目的・名称・設置する学校の種類・名称等を「寄附行為」によって定め、所轄庁の認可を受けなければならないとされています。 (文部科学省)
また、学校教育法第6条では、学校設置者の資格として「法律で定める法人」による設置が要件と定められています。 (文部科学省)
要するに、個人による学校運営→次の段階で学校法人設立という流れには、法制度上の位置付けも整っています。


4. 学校法人を設立するための要件(寄附行為・役員体制・財産基盤)

・寄附行為(法人定款に相当)

学校法人設立にあたって、寄附行為に以下のような必要的記載事項を含めなければなりません。 (e-Gov 法令検索)
– 目的
– 名称
– 設置する私立学校の種類・名称
– 理事・監事・評議員などの機関及びその役割など
また、寄附行為を変更する場合、所轄庁の認可が必要です。 (文部科学省)

・役員体制・ガバナンス

例えば、学校法人を設立するための基本的要件として以下が挙げられています。
– 理事5名以上、監事2名以上を置くこと。
– 評議員会を設け、理事定数の2倍を超える数の評議員をもつこと。
– 役員の親族関係について、配偶者又は3親等以内の親族が1人を超えて含まれてはならない、など。 (文部科学省)
これにより、学校法人の公共性・ガバナンス体制が確保されます。

・財産・施設・資産基盤

学校法人を設立・運営するには、校地・校舎・設備・人員・財務基盤など、かなりの水準を満たす必要があります。たとえば、北海道例では「施設及び設備は借用ではなく原則自己所有」「認可申請時点ですでに資金が確保されていること」などが要件となっています。
また、校地・校舎・運動場などの面積基準が、都道府県ごとに設定されており、例として「校地20 m²/人以上」などの指標があります。 (文部科学省)
運営資金・収益事業を行う場合の制限・収益目的ではないこと、といった制度ガバナンス上の規制も留意が必要です。


5. 個人立から学校法人への移行パターンと留意点

移行パターンの例

  1. 個人立学校として設立・運営
    まずは個人(個人事業主)又は一般法人(株式会社等)で学校を設置(例:各種学校・専門学校)し、一定の運営実績・入学実績・資産基盤を固める。
  2. 準学校法人化(専修学校・各種学校)
    専修学校・各種学校の設置を目的とした法人を設立(いわゆる「準学校法人」)という選択肢もあります。 (文部科学省)
  3. 学校法人設立申請
    以上を踏まえ、私立学校法に基づく学校法人設立を目指す。寄附行為を定め、役員・財産・施設・教育内容等を整えて、所轄庁の認可を申請。
  4. 既存学校を学校法人の設置学校として移行
    個人立または一般法人立で運営していた学校を、設立した学校法人の設置校として承認・移行という流れもあります。これにより、学校法人の公共性・支援・税制優遇を享受できるようになります。

留意点

  • 個人立のまま運営を続けた場合、法律で定める学校(小学校・中学校・高等学校・大学など)を設置できない、という法制度上の限界がある点。
  • 学校法人設立に移行するタイミングで、施設の所有・資産確保・役員体制・運営実績など「設立認可の審査に耐えうる体制」を事前に整えておく必要があります。
  • 移行のためには、一定の書類・認可申請・登記・役員変更・寄附行為の変更など複数のプロセスが必要となるため、スケジューリング・コスト・税務・会計・法務の観点からも専門家支援を受けるのが望ましいです。
  • 法人化後は監査制度・ガバナンス義務・報告義務等が強化されており、運営面での負荷が高まるため、「法人化=メリット」だけでなく「運営コスト」を含めた設計が重要です。

6. 手続きの流れ(申請書類・所轄庁・審査ポイント)

所轄庁

  • 私立大学・私立高等専門学校を設置する学校法人 → 所轄は 文部科学省(大臣)となります。
  • 私立高等学校以下(幼稚園・小学校・中学校・高等学校等)を設置する学校法人 → 所轄は都道府県知事となります。 (文部科学省)

主な申請書類・手続き

  • 寄附行為認可申請書
  • 設置学校の校地・校舎関係書類(面積・所有証明・建築確認済証等)
  • 役員名簿・理事会・監事・評議員構成に関する書類
  • 財産目録・資産基盤証明(寄附金・設立時資金)
  • 学校の設置認可(学校設置そのもの)を伴う場合は、学校教育法上の設置要件を満たしていることを証明する審査基準資料。例えば、面積・教室数・運動場等。 (文部科学省)

審査ポイント(よくあるチェック)

  • 校地・校舎の所有名義・用途変更が適法か、借用・賃借か。借用の場合は「特段の事情」が必要。
  • 適切な役員体制・ガバナンス体制の構築(理事・監事・評議員)と親族制限。 (文部科学省)
  • 設立時点での教育財産・運転資金確保状況。資金調達・収入確保が不十分と判断されると許可が下りない可能性あり。
  • 学校設置のための施設・設備・人員・教育計画が実態に即しており、将来性・継続性が見込まれるか。
  • 公共性・非営利性の担保。営利目的での学校運営と見なされないこと。

登記手続

認可取得後、学校法人の設立を登記しなければなりません。登記により法的法人格が発生します。


7. 設立後の運営体制・ガバナンス強化・監査・報告義務

  • 最近の制度改正により、学校法人のガバナンス・会計監査・理事・評議員の兼職制限などが強化されています。 (文部科学省)
  • たとえば、大学・高等専門学校を設置する学校法人では、会計監査人による監査が義務づけられているケースがあります。 (文部科学省)
  • 学校法人として継続運営をしていくためには、毎期の決算報告・所轄庁への届出・役員変更・資産状況の報告などの義務が発生します。 (文部科学省)
  • 運営面では、教育内容の質・施設維持・教職員の雇用安定・法令遵守(建築基準法・消防法・労働法・個人情報保護など)といった複合的なリスク管理が必要です。
  • 特に、ご関心のある分野(介護福祉・同行援護・移動支援・一般貨物運送等の開業支援)との複合経営を想定する場合、「学校+福祉+運送」といった異種業態融合の中で、学校法人の安定運営を担保するためには、教育+事業収益+資産運用のバランスを慎重に設計することが求められます。

8. ケーススタディ:想定モデル(専門学校/各種学校)

ここでは、ユーザー様のご専門分野(介護福祉・同行援護・移動支援等)を踏まえた想定モデルを提示します。

想定モデル:介護・福祉分野に特化した専門学校設立 → 学校法人化

  • 第1段階:個人事業主または一般法人(株式会社)で「介護福祉士養成講座」等の各種学校を設置。少人数クラス・地域ニーズを捉えた実践カリキュラムを展開。
  • 第2段階:運営実績を積み、教職員・施設・設備・学生数・収益基盤・補助金導入実績を固める。
  • 第3段階:法人を「学校法人」として設立申請。寄附行為を定め、理事・監事・評議員体制を整備。校地・校舎を所有ないし適法賃借、運営資金確保。所轄庁に設置認可申請。
  • 第4段階:学校法人としての登記完了後、学校法人名義で学校を設置・運営。補助金(例えば「介護福祉士養成費補助金」等)や税制優遇を活用、ブランド化・地域展開を図る。
    このような流れを想定することで、弊事務所が提供する「学校設立支援」「学校法人化支援」「福祉+教育複合支援」といったサービスメニューを構築しやすくなります。

9. 行政書士視点で支援可能なサービスメニューと注意点

サービスメニュー案

  • 個人立学校設置支援(各種学校・専門学校)
    • 設置計画立案、カリキュラム設計、施設設備要件チェック、設置申請書類作成
  • 学校法人設立支援
    • 寄附行為(定款)作成、役員構成アドバイス、資産・校地・校舎調査、認可申請書類作成・提出代行
  • 移行支援(個人立→学校法人化)
    • 既存学校の法人名義移行支援、資産移転・契約関係見直し、社員/理事会設計、ガバナンス強化支援
  • 運営ガバナンス・コンプライアンス支援
    • 役員変更・報告届出、会計監査導入支援、内部統制・リスク管理構築、教育機関特有の法令対応(建築・消防・労務)
  • 事業戦略支援
    • 教育機関×福祉×運送等複合モデル構築、補助金スキームの組成、資金調達(融資・クラウドファンディング)支援

注意点・留意事項

  • 「学校法人だから万能」というわけではなく、運営体制・財務基盤・教育環境・法令適合性が審査・継続運営で重要。
  • 校地・校舎の所有名義・適法用途変更など、設置認可のハードルが高く、借用・賃貸だけでは認可が厳しい場合があります。
  • ガバナンス強化制度が改正されており、理事・評議員・監事の兼職・親族関係・会計監査人の要件などが厳格化されてきています。 (文部科学省)
  • 教育機関設立・運営は「公共性」を重視されるため、単なるビジネスモデル寄り・利益追求型の運営とみなされると認可が難しい場合があります。 (内閣府ホームページ)
  • 設立後も、教育内容・施設維持・学生募集・収支バランスなどが継続的な「運営リスク」として存在します。設立支援の段階で「開校後3〜5年の収支シミュレーション」を作成しておくことが望ましいです。
  • ユーザー様のように「障害福祉サービス」「同行援護」「移動支援」「一般貨物運送事業」など他業種との連携を視野に入れている場合、学校法人運営と他事業の収益・資源シェア、資金調達構造の適正化(自己資本比率、補助金との整合性、税務構造)を注意深く設計する必要があります。

10. おわりに:今後の展望と読者へのメッセージ

教育サービス市場は「学び直し」「地域包括」「高齢化対応」「福祉特化人材育成」など新たなニーズが日々拡大しています。学校法人化を視野に入れた教育機関設立は、これらの潮流を捉える有力なモデルです。
一方で、学校法人という制度には 公共性・継続性・適法性 という重い責任が伴います。設立という起点だけでなく、運営体制・財務基盤・法令順守・ガバナンスをいかに設計・実装するかが成否を分けます。
行政書士として、そして学校設立支援プロバイダーとして、貴殿がこの潮流を捉え、教育×福祉×地域ニーズを融合させた「新規学校設立・学校法人化支援」の旗を掲げることは、極めてタイムリーかつ将来性のあるビジネスモデルだと存じます。
ぜひこのブログ記事を通じて、読者(起業家・教育ベンチャー・地域団体等)に向けて「個人立から学校法人へ/教育機関設立のリアルな流れと支援スキーム」をわかりやすく情報発信されてはいかがでしょうか。


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